はじめに:クレジットの「戸籍簿」を、見比べてみよう
カーボンクレジットの取引の信頼性を支える、最も重要なインフラ。それが、クレジットの発行・移転・無効化の全てを記録するデータベース、「レジストリ」です。
これは、いわばクレジットの「戸籍簿」や「登記簿」のようなもの。
主要な認証機関は、それぞれ独自のレジストリを運営しており、その特徴も少しずつ異なります。
今回は、代表的な3つのレジストリ「Verra」「Gold Standard」「Puro.earth」の違いを比較し、その役割の重要性を解説します。
1. Verra Registry:世界最大・最もスタンダードな登録簿
- 運営組織:Verra(ベラ)
- 特徴:世界で最も取引量の多い「VCS(Verified Carbon Standard)」プログラムの公式レジストリです。
登録されているプロジェクト数、発行されているクレジット量ともに最大で、市場のデファクトスタンダード(事実上の標準)となっています。
森林保全(REDD+)から再生可能エネルギー、工場での排出削減まで、ありとあらゆる種類のプロジェクトが登録されています。
- ポイント:VCSだけでなく、コベネフィットを認証する「CCB Standards」や「SD VISta」の認証状況も、このレジストリで確認できます。
まずは、このVerra Registryのサイトで、プロジェクトを検索してみるのが、市場の全体像を掴むための第一歩と言えるでしょう。
2. Gold Standard Impact Registry:品質とSDGsへの貢献を重視
- 運営組織:Gold Standard(ゴールドスタンダード)
- 特徴:その名の通り、「ゴールド(金)」基準の品質を追求するレジストリです。
登録のためには、厳格なCO2削減効果の証明に加えて、プロジェクトがSDGs(持続可能な開発目標)へ、どのように貢献するかを具体的に示す必要があります。
そのため、地域社会への貢献や、健康・教育への配慮といった、コベネフィットの情報が豊富に記載されているのが特徴です。
- ポイント:プロジェクトの質を特に重視したい、CO2削減だけでなく、より幅広い社会貢献に関心がある、という投資家は、このレジストリを中心に情報を探すと、共感できるプロジェクトに出会いやすいでしょう。