【未来の金融】「ブレンデッド・ファイナンス」とは?公的資金と、民間資金の、賢い、組み合わせ方

はじめに:壮大な「課題」には、壮大な「資金」が、必要だ

気候変動対策、貧困削減、インフラ整備…。

SDGs(持続可能な開発目標)が、掲げる、地球規模の、課題を、解決するためには、毎年、数兆ドルという、天文学的な、規模の、資金が、必要であると、言われています。

この、巨大な、資金ギャップを、政府開発援助(ODA)などの「公的資金」だけで、埋めることは、到底、不可能です。

そこで、今、国際開発の、世界で、大きな注目を、集めているのが、公的資金を「呼び水」として、その、何倍もの「民間資金」を、開発途上国の、サステナブルな、プロジェクトへと、動員するための、賢い、資金調達の、仕組み

それが、「ブレンデッド・ファイナンス(Blended Finance)」です。

今回は、この、公と民の、創造的な、パートナーシップの、形について、解説します。

ブレンデッド・ファイナンスの、仕組み

開発途上国の、サステナブルな、プロジェクト(例:再生可能エネルギー事業、小規模農家の支援など)は、大きな、社会的インパクトを、持つ、可能性が、あっても、民間投資家から見ると、様々な「リスク」が高く、投資に、踏み切れない、ケースが、多くあります。

(例:カントリーリスク、事業の、不確実性、為替変動リスクなど)

ブレンデッド・ファイナンスは、公的資金や、慈善団体の、資金を、戦略的に、活用することで、こうした、民間投資家が、感じる「リスク」を、低減し、プロジェクトの、投資妙味(リスク・リターン特性)を、改善することを、目的とします。

具体的な「ブレンド」の方法

  • 公的資金による「劣後ローン/出資」

    プロジェクトが、もし、損失を、出した場合に、公的資金が、民間投資家よりも「先」に、その損失を、引き受ける(劣後する)、という、仕組みです。

    これにより、民間投資家は、元本割れの、リスクが、大幅に、低減され、より、安心して、融資や、出資を、行うことができます。

    公的資金が、いわば「緩衝材(クッション)」の、役割を、果たすのです。

  • 公的資金による「保証」

    プロジェクトが、債務不履行に、陥った場合に、公的機関が、民間金融機関の、融資の、元本返済を「保証」します。

    これにより、金融機関は、貸し倒れリスクを、恐れずに、プロジェクトへの、融資を、実行できます。

  • 技術支援(TA)ファンド

    プロジェクトの、初期段階では、事業化調査(フィージビリティ・スタディ)や、環境アセスメントなど、専門的な、ノウハウが、必要となります。

    公的資金が、こうした、初期段階の、コンサルティング費用などを、無償で、提供(グラント)することで、プロジェクトの、実現可能性を、高め、民間投資家が、投資しやすい「投資適格案件」へと、育て上げます。

カーボンクレジット市場との、関係

この、ブレンデッド・ファイナンスの、仕組みは、カーボンクレジットの、プロジェクト開発においても、非常に、重要な、役割を、果たします。

特に、アフリカなどの、ハイリスクな地域で、質の高い、カーボンクレジットプロジェクトを、立ち上げるには、多額の、初期投資と、専門的な、ノウハウが、必要です。

公的資金が、ブレンデッド・ファイナンスの、手法を通じて、プロジェクトの、初期リスクを、引き受けることで、民間の、プロジェクト開発者や、投資家が、参入しやすくなり、質の高い、クレジットの「供給」を、増やすことに、繋がります。

世界銀行の「森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)」などは、まさに、この、ブレンデッド・ファイナンスの、考え方を、活用して、途上国の、REDD+プロジェクトを、支援しています。

まとめ:公は「触媒」、民が「エンジン」

ブレンデッド・ファイナンスは、公的資金の、役割を、根本から、捉え直す、パラダイムシフトです。

公的資金は、もはや、全ての、課題を、直接、解決する「主役」では、ありません。…