はじめに:CO2を吸収するのは、森だけじゃない
「カーボンクレジット」と聞くと、多くの人が「森林保護」や「植林」といった、緑豊かな森のイメージを思い浮かべるかもしれません。
確かに、森林(グリーンカーボン)はCO2の重要な吸収源です。
しかし、地球のCO2を吸収してくれる生態系は、それだけではありません。
今回は、近年特に注目を集めている「ブルーカーボン」をはじめとする、多様なカーボンクレジットの種類をご紹介します。
視野を広げれば、あなたの応援したいプロジェクトがもっと見つかるはずです。
今、大注目の「ブルーカーボン」とは?
ブルーカーボンとは、海草や海藻、マングローブ林、塩性湿地といった、海洋生態系によって吸収・貯留される炭素のことです。
- なぜ注目されている?:単位面積あたりのCO2吸収速度は、陸上の森林の数倍から数十倍とも言われ、非常に効率的な吸収源として期待されています。
また、海の生物多様性を守り、水質を浄化し、沿岸地域を自然災害から守るなど、多様な恩恵(コベネフィット)をもたらします。
- どんなプロジェクトがある?:マングローブ林の再生・植林プロジェクト、藻場の造成・保全プロジェクトなどがあります。
日本でも、沿岸域でのブルーカーボン生態系の保全活動が、J-Creditの対象として認められるようになりました。
他にもある!多様なカーボンクレジットの世界
土壌炭素(ソイルカーボン)
畑や牧草地の土壌も、適切な管理を行うことで、大気中のCO2を大量に吸収・貯留することができます。
例えば、不耕起栽培(畑を耕さない農法)や、被覆作物の利用(作物を育てない時期に、土壌を覆う植物を植える)といった、環境再生型農業(リジェネラティブ農業)に関するプロジェクトがこれにあたります。
食料生産と気候変動対策を両立する取り組みとして注目されています。
技術ベースのクレジット
生態系による吸収だけでなく、科学技術によってCO2を削減・除去するプロジェクトもあります。
- 再生可能エネルギー:太陽光発電や風力発電所の建設プロジェクト。
化石燃料による発電を代替することで、CO2排出を削減します。
最も一般的なクレジットの一つです。
- DAC(Direct Air Capture):特殊なフィルターなどを使って、大気中のCO2を直接回収する技術です。
まだコストが高いのが課題ですが、未来の切り札として期待されており、この技術によって除去されたCO2もクレジット化されています。
まとめ:あなたの「好き」で、プロジェクトを選ぼう
カーボンクレジットの世界は、私たちが思う以上に多様で、奥深いものです。
- 緑豊かな森が好きなら、グリーンカーボン。
- 美しい海が好きなら、ブルーカーボン。
- 安全な食に関心があるなら、ソイルカーボン。
- 未来のテクノロジーにワクワクするなら、技術ベースのクレジット。
このように、自分の興味・関心や価値観を軸に、応援したいプロジェクトを探すことができます。
森林だけでなく、海や大地、そして未来の技術へ。…