はじめに:現物取引の、その先へ。市場は、より高度化する
現在、私たち、個人投資家が、参加している、カーボンクレジットの取引は、主に、特定のプロジェクトの、クレジットを、直接、売買する「現物(スポット)取引」です。
しかし、株式市場や、商品市場と、同じように、カーボンクレジット市場が、成熟していくにつれて、より、高度で、専門的な、金融デリバティブ(金融派生商品)の取引が、活発化していきます。
その、代表的なものが、「先物(Futures)」と「オプション(Options)」です。
今回は、これらの、金融用語の、基本的な意味と、その市場の、発展が、私たち、個人投資家に、どのような影響を、与えるのかを、解説します。
「先物取引」とは?
先物取引とは、一言でいうと、「将来の、決められた時点(期日)で、特定の商品(この場合は、カーボンクレジット)を、現時点で、取り決めた価格で、売買することを、約束する」取引です。
- 目的:
・価格変動リスクの、ヘッジ:将来、クレジットを、購入する必要がある企業(例:航空会社)は、今のうちに、先物取引で、将来の購入価格を、固定しておくことで、将来の、価格上昇リスクを、回避できます。
逆に、プロジェクト開発者は、将来の売却価格を、固定することで、価格下落リスクを、回避できます。
・投機:将来、価格が、上がると、予測する投資家は、今のうちに、安い価格で、買う約束(買いポジション)をしておき、実際に、価格が上がった時点で、転売して、利益を、狙います。
- 特徴:取引所で、取引される、標準化された、商品(例:「自然ベースクレジット先物 2026年12月限」など)が、売買されます。
個別のプロジェクトの、クレジットではなく、ある程度、同質化された、バスケットの、価格が、指標となります。
「オプション取引」とは?
オプション取引とは、「将来の、決められた時点(期日)で、特定の商品を、現時点で、取り決めた価格(権利行使価格)で、『買う権利(コールオプション)』または、『売る権利(プットオプション)』を、売買する」取引です。
- 先物との違い:先物取引が、期日になったら、必ず、売買を、実行しなければならない「義務」であるのに対し、オプション取引は、あくまで「権利」の売買です。
自分に、不利な状況になれば、その権利を「放棄」することができます。
(ただし、その場合、最初に支払った、オプションの購入代金(プレミアム)は、失います。
)
- 目的:先物と同様に、リスクヘッジや、投機のために、使われますが、より、複雑で、柔軟な、戦略を、組むことが可能です。