はじめに:地球の、内なる「熱」を、エネルギーに
日本は、世界有数の「火山国」です。
その、足元には、地球の、核から、伝わる、膨大な「地熱エネルギー」が、眠っています。
この、国産の、クリーンな、エネルギー資源を、活用する「地熱発電」。
太陽光や、風力のように、天候に、左右されず、24時間、365日、安定的に、電力を、供給できる「ベースロード電源」として、日本の、エネルギー安全保障と、脱炭素化の、両方を、実現する、切り札として、大きな期待が、寄せられています。
今回は、この、地熱発電の、仕組みと、その、大きな可能性、そして、普及に向けた、課題について、解説します。
地熱発電の、仕組み
地熱発電は、地下深くにある「地熱貯留層」と呼ばれる、高温の、蒸気や、熱水の、層を、利用します。
- 掘削:まず、地下、数千メートルまで、井戸(生産井)を、掘り、地熱貯留層に、到達させます。
- 蒸気の、取り出し:地熱貯留層からは、マグマの熱で、熱せられた、200〜300℃にも、達する、高温・高圧の、蒸気や、熱水が、噴出します。
- タービンの、回転:この、蒸気の力で、タービンを、勢いよく、回転させ、その、回転エネルギーを、使って、発電機を、回し、電気を、作ります。
(基本的な、仕組みは、火力発電と、同じですが、燃料を、燃やす、必要が、ありません。
)
- 水の、還元:タービンを、回し終えた、蒸気や、熱水は、冷却され、再び、水に戻した後、別の井戸(還元井)から、地下の、地熱貯留層へと、戻されます。
これにより、資源を、枯渇させることなく、持続的に、利用することが、可能です。
地熱発電の、メリット
- 純国産の、安定した、エネルギー:燃料を、海外からの、輸入に、頼る、必要がなく、エネルギーの、安定供給と、安全保障に、大きく、貢献します。
また、天候や、昼夜に、関係なく、24時間、一定の、出力で、発電できるため、電力系統を、安定させる「ベースロード電源」として、最適です。
- CO2を、排出しない、クリーンエネルギー:発電時に、CO2を、ほとんど、排出しません。
- 小さな、設置面積:発電所の、設置面積が、比較的小さく、太陽光発電のように、広大な、土地を、必要としません。
- 地域への、多角的な、貢献:発電に、使った後の、温水を、農業用ハウスの、暖房や、魚の養殖、あるいは、地域の、温泉施設や、暖房に、利用するなど、熱の「多段階利用」によって、地域の、産業振興や、雇用創出に、貢献できる、大きな、ポテンシャルが、あります。
普及への「課題」
多くの、メリットを持つ、地熱発電ですが、その、普及は、なかなか、進んでいません。
その、背景には、いくつかの、大きな、課題が、あります。
- 高い、初期コストと、開発リスク:地下深くの、地熱貯留層を、見つけ出し、そこに、正確に、井戸を、掘削するには、高度な、調査技術と、多額の、初期投資が、必要です。
また、時間と、コストを、かけて、掘削しても、期待したほどの、蒸気が、得られない、という「開発リスク」が、常に、伴います。
- 長い、開発期間:調査から、環境アセスメント、そして、建設まで、発電所の、運転開始までには、10年以上という、非常に、長い時間が、かかります。
- 国立公園・温泉事業者との、調整