はじめに:玉石混交の「森」から、本物の「宝」を、見つけ出す
カーボンクレジット市場において、最も、人気があり、かつ、最も、議論の的となってきたのが、「REDD+(森林減少・劣化からの排出削減)」プロジェクトです。
その中には、ケニアの「カシガウ・コリドー」のような、素晴らしい成功事例もあれば、残念ながら、その効果や、持続可能性に、疑問符が付くような、質の低いプロジェクトも、存在します。
では、私たち、個人投資家は、この「玉石混交」の中から、いかにして、本当に、価値のある、質の高いREDD+プロジェクトを、見極めれば、良いのでしょうか。
今回は、そのための、具体的な「5つのチェックリスト」を、ご紹介します。
高品質なREDD+プロジェクト、5つのチェックリスト
✅ 1. ベースラインは、保守的で、説得力があるか?
REDD+の、CO2削減量は、「もし、プロジェクトがなかったら、どれだけの森林が、失われていたか」という「ベースライン」の、設定に、大きく依存します。
- チェックポイント:
・ベースラインの、設定方法は、透明性が高く、公開されているか?
・その地域の、過去の、森林減少のトレンドだけでなく、将来の、開発圧力(人口増加、道路建設計画など)も、考慮されているか?
・意図的に、森林破壊の予測を、過大に、見積もることで、クレジット量を、水増ししようとしていないか?
その設定は、第三者から見ても、客観的で、説得力のあるものか?
 
✅ 2. リーケージ(漏出)への、対策は、十分か?
プロジェクトエリア内の、伐採を、止めた結果、その活動が、単に、隣のエリアに、移動(リーケージ)しただけでは、意味がありません。
- チェックポイント:
・プロジェクトは、リーケージのリスクを、認識し、その影響を、定量的に、評価しているか?
・削減量から、リーケージ分を、きちんと、差し引いているか?
・プロジェクトの、境界周辺地域まで含めて、広範囲な、モニタリングを、行っているか?
・伐採に、代わる、持続可能な、収入源を、地域住民に、提供することで、リーケージの、根本原因に、対処しようとしているか?
 
✅ 3. 地域コミュニティが、真の「パートナー」になっているか?
プロジェクトの、長期的な成功は、地域コミュニティとの、信頼関係なくして、あり得ません。
- チェックポイント:
・FPIC(自由で、事前の、十分な情報に基づく同意)の、プロセスは、適切に、実施されているか?
・プロジェクトの、意思決定の場に、地域住民の、代表は、参加しているか?
・クレジット販売による、収益の、分配メカニズムは、公平で、透明性が高いか?
・プロジェクトが、彼らの、伝統的な、土地の権利や、文化を、尊重しているか?
 
✅ 4. コベネフィットは、具体的で、測定可能か?
「生物多様性」や、「貧困削減」といった、コベネフィットは、プロジェクトの、価値を、大きく高めます。…