【ホスピタリティ業界の挑戦】ホテルの宿泊をカーボンニュートラルにするには?

はじめに:旅の「拠点」から、地球の未来を考える

旅行の楽しみの一つは、快適で、心休まるホテルでの滞在です。

しかし、ホテルという施設は、その運営において、多くのエネルギーを消費し、CO2を排出しています。

照明、空調、リネンの洗濯、レストランでの調理、アメニティの提供…。

近年、サステナビリティへの意識が高い旅行者が増える中、ホスピタリティ業界もまた、この環境負荷という課題に、真剣に向き合い始めています。

今回は、ホテル業界が、どのように脱炭素化を進め、そして、私たち宿泊者が、どうすれば、その取り組みを応援できるのか、カーボンクレジットの活用法も交えて、解説します。

ホテルが取り組む、CO2削減の具体策

先進的なホテルでは、様々なアプローチで、CO2排出量の削減(リデュース)に、取り組んでいます。

  • 省エネルギーの徹底:館内の照明を、全てLEDに交換したり、人感センサー付きの空調を導入したり、断熱性能の高い窓ガラスを採用したり、といった、地道な省エネ努力。
  • 再生可能エネルギーの導入:ホテルの屋上や、未利用の土地に、太陽光発電パネルを設置し、自家発電で、エネルギーの一部を賄います。

    また、電力会社から、再生可能エネルギー由来の電力プランを、購入するホテルも増えています。

  • 食品ロスの削減:レストランのビュッフェで、食べ残しを減らすための、小皿料理の提供や、需要予測に基づいた、仕入れの最適化。

    また、コンポスト(堆肥化)設備を導入し、生ゴミを、地域の農園の肥料として、再利用する取り組みも。

  • 廃棄物の削減:客室の、使い捨てプラスチック製アメニティ(歯ブラシ、カミソリなど)を廃止し、代わりに、詰め替え式のボトルや、竹などの、環境配慮型素材の製品を、導入します。
  • 水の節約:節水シャワーヘッドの導入や、リネンの交換頻度を、宿泊客が選択できる(連泊時の交換不要を推奨する)プログラムの実施。

宿泊者として、貢献できること

私たち旅行者も、ホテルのサステナブルな取り組みを、積極的に「選んで、応援する」ことができます。

  1. 「グリーンなホテル」を選ぶ:ホテルを予約する際に、そのホテルが、どのような環境への取り組みを行っているか、公式サイトなどで、事前にチェックしましょう。

    「サステナビリティ」や「環境方針」といったページに、具体的な活動が、記載されていることが多いです。

  2. 「カーボンオフセット付き宿泊プラン」を選ぶ:一部の先進的なホテルでは、宿泊に伴うCO2排出量(一泊あたり、〇〇kg-CO2など)を、あらかじめ計算し、その分を、カーボンクレジットでオフセットした「カーボンニュートラルな宿泊プラン」を、提供し始めています。

    通常プランより、少し割高になるかもしれませんが、あなたの宿泊が、地球環境の保全に、直接、繋がります。

  3. ホテル内での、エコな行動を心がける:リネンの交換を、辞退したり、部屋の電気や、エアコンを、こまめに消したり、といった、小さな行動も、積み重なれば、大きな削減に繋がります。

まとめ:良い旅とは、地域と地球に、良い影響を与える旅

これからの、良いホテル、良い旅の基準は、単に、豪華さや、快適さだけではありません。

そのホテルが、いかに、地域の文化や、自然環境を尊重し、地球の未来に対して、責任ある行動を、とっているか。

そして、私たち旅行者が、その姿勢に共感し、応援すること。

その、ホテルと、旅行者の、ポジティブな相互作用こそが、旅を、より豊かで、意義深いものにしてくれるはずです。

あなたの次の旅行計画に、ぜひ、「サステナビリティ」という、新しいチェック項目を、加えてみてください。…

【未来の技術】トークン化されたカーボンクレジット(NFT)の可能性と課題

はじめに:ブロックチェーンが、環境価値を「民主化」する

「NFT(非代替性トークン)」と聞くと、多くの人は、高額で取引される、デジタルのアート作品を、思い浮かべるかもしれません。

しかし、NFTの、基盤となる「ブロックチェーン」技術が持つ、本当のポテンシャルは、アートの世界に、留まりません。

特に、カーボンクレジットのように、信頼性と、透明性が、何よりも重要な「環境価値」の取引において、この技術は、革命的な変化を、もたらす可能性を、秘めています。

今回は、カーボンクレジットを、ブロックチェーン上で、トークンとして扱う、「トークン化カーボンクレジット」の、未来の可能性と、乗り越えるべき課題について、解説します。

トークン化カーボンクレジットとは?

これは、Verraや、Gold Standardといった、既存のレジストリで発行された、伝統的なカーボンクレジット(1トン)を、ブロックチェーン上に、持ち込み(ブリッジング)、NFTのような、固有の「トークン」として、発行し直したものです。

一つ一つのトークンには、「どのプロジェクト由来の、何年ヴィンテージの、どのクレジットか」といった、全ての情報が、改ざん不可能な形で、記録されています。

これにより、これまで、特定の事業者しかアクセスできなかった、クレジットの取引が、ブロックチェーン上で、誰でも、P2P(個人間)で、直接、行えるようになります。

トークン化がもたらす、4つの「革命」

1. 圧倒的な「透明性」

誰が、いつ、どのクレジットを、いくらで売買し、いつ、オフセットのために「無効化(トークンを焼却)」したか。

その、全ての取引履歴が、ブロックチェーン上に、半永久的に、記録され、誰でも、閲覧することが可能です。

これにより、伝統的な市場が抱えていた、二重計上や、不透明な取引といった問題が、根本的に、解決されます。

2. グローバルな「流動性」

ブロックチェーンは、国境を持ちません。

これまで、国の制度や、仲介業者によって、分断されていた、世界中のクレジット市場が、一つの、グローバルな流動性プールとして、統合されます。

これにより、買い手は、より多様な選択肢の中から、最適なクレジットを、見つけやすくなり、売り手(プロジェクト開発者)は、世界中の買い手に、直接、アクセスできるようになります。

3. 中間コストの「削減」

伝統的な市場では、ブローカーや、仲介業者が、取引の間に、何層も介在し、その都度、手数料が発生していました。

ブロックチェーン上の取引では、こうした中間者が、不要になり、売り手と、買い手が、直接、繋がることができます。

これにより、取引コストが、大幅に削減され、より多くの資金が、プロジェクト開発者に、直接、届くようになると、期待されています。

4. プログラマビリティ(組み合わせ可能性)

トークン化されたクレジットは、単なる「資産」ではなく、DeFi(分散型金融)の、他の様々な金融商品と、自由に、組み合わせることができる、「プログラム可能な」資産となります。

例えば、クレジットを、担保にして、お金を借りたり、複数の種類のクレジットを、組み合わせて、新しい「指数(インデックス)」を作ったり、といった、これまで不可能だった、新しい金融イノベーションが、次々と、生まれる可能性があります。

乗り越えるべき、課題

トークン化は、多くの可能性を秘めていますが、同時に、解決すべき課題も、山積しています。

  • 品質の担保:「どの」クレジットを、トークン化するのか。

    質の低い、グリーンウォッシュ的なクレジットが、ブロックチェーン上に、持ち込まれ、市場全体の信頼を、損なうリスクがあります。

  • 規制との整合性:各国の金融規制や、税制が、この新しい技術に、まだ、追いついていません。

    法的な、不確実性が、大きな参入障壁となっています。

【企業の適応戦略】「移行計画」の、情報開示。投資家は、その「信頼性」を、どう、見極めるか?

はじめに:約束は、誰でもできる。重要なのは「実行」だ

「2050年までに、ネットゼロを、達成します」。

今や、こうした、宣言を、掲げることは、企業の、サステナビリティ活動の「スタートライン」に、過ぎません。

投資家が、本当に、知りたいのは、その、遠い未来の「約束」が、いかにして、達成されるのか、その、具体的で、信頼性の高い「移行計画(Transition Plan)」です。

多くの企業が、サステナビリティ報告書などで、自社の、移行計画を、開示し始めています。

しかし、その、内容は、玉石混交です。

単なる、美辞麗句を、並べただけの、お題目から、詳細な、データと、財務計画に、裏付けられた、骨太な、戦略まで、様々です。

では、私たち、投資家は、その、移行計画の「信頼性」を、どこで、見極めれば、良いのでしょうか。

今回は、そのための、具体的な、評価の、チェックポイントを、解説します。

信頼できる「移行計画」の、5つの、構成要素

英国の「移行計画タスクフォース(TPT)」などが、示す、ベストプラクティスを、参考に、以下の、5つの、視点から、計画を、評価してみましょう。

1. 「野心」と「具体性」の、バランス

  • チェックポイント

    ・目標は、SBTiの、1.5℃基準に、整合するなど、十分に「野心的」か?

    ・その、野心的な、長期目標を、達成するための、短期(〜3年)・中期(〜10年)の、具体的な、中間目標(マイルストーン)が、明確に、設定されているか?

    ・目標が、Scope 1, 2だけでなく、最も、重要なScope 3まで、カバーしているか?

2. 「行動」の、詳細さと、一貫性

  • チェックポイント

    ・目標達成のために、具体的に「何をするのか」が、詳細に、記述されているか?

    (例:事業ポートフォリオの、見直し、設備投資計画、研究開発戦略、サプライヤーとの、エンゲージメント計画など)

    ・その、行動計画は、企業の、全体的な、経営戦略と、矛盾なく、統合されているか?

3. 「財務」的な、裏付け

  • チェックポイント

    ・行動計画を、実行するために、今後、どれくらいの「投資」が、必要で、その、資金を、どう、調達するのか、具体的な、財務計画が、示されているか?

    ・インターナル・カーボンプライシング(ICP)を、導入し、投資判断に、活用しているか?

    ・気候変動が、自社の、財務に、与える、潜在的な、影響を、TCFDの、シナリオ分析などを、用いて、定量的に、評価しているか?

4. 「ガバナンス」による、実効性の、担保

【出張・社用車】企業の移動に伴うCO2排出量をオフセットする方法

はじめに:ビジネスの「足跡」にも、責任を持つ

企業の事業活動において、従業員の「移動」は、欠かすことのできないものです。

営業のための顧客訪問、遠隔地での会議への出張、日々の業務で使う社用車の走行…。

しかし、これらの移動は、Scope 1(社用車の燃料使用)および Scope 3(従業員の出張など)の、無視できないCO2排出源となっています。

サステナビリティを重視する企業にとって、自社の事業に伴う「移動(ビジネストラベル)」のカーボンフットプリントを、いかにして削減し、オフセットしていくか。

これは、企業の社会的責任を示す上で、非常に分かりやすく、かつ、重要な取り組みとなります。

今回は、その具体的な方法について解説します。

ステップ1:算定(見える化)- どれだけ移動し、排出したか?

まず、第一歩は、自社の移動に伴うCO2排出量を、正確に把握することです。

  • 対象範囲の決定:どこまでの移動を、算定の対象とするかを決めます。

    (例:国内の全従業員の出張、役員の海外出張、本社が管理する全ての社用車など)

  • データの収集

    出張:経費精算システムなどから、従業員ごとの「利用交通機関(飛行機、新幹線など)」「移動区間」「利用クラス」のデータを収集します。

    社用車:車両管理台帳や、給油カードの記録から、「車種」「燃料の種類(ガソリン、軽油)」「年間走行距離(または、燃料使用量)」のデータを収集します。

  • 排出量の計算:収集したデータに、環境省などが公開している「排出原単位(例:航空機の、一席・1kmあたりのCO2排出量)」を掛け合わせることで、全体のCO2排出量を計算します。

    この計算を代行してくれる、専門のサービス事業者もいます。

ステップ2:削減(リデュース)- 本当に、その移動は必要か?

オフセットの前に、まず、不要な移動を減らす努力が、最も重要です。

  • トラベルポリシーの見直し:社内規定(トラベルポリシー)を改定し、オンライン会議の積極的な利用を推奨したり、不必要な出張を抑制したりします。
  • 出張手段のグリーン化:飛行機での移動よりも、新幹線での移動を優先する、といったルールを設けます。
  • 社用車のEV化:社用車を、ガソリン車から、電気自動車(EV)や、ハイブリッド車へと、計画的に切り替えていきます。

ステップ3:オフセット(相殺)- 残った排出量に、責任を持つ

削減努力を行っても、なお残る「避けられない」移動の排出量を、カーボンクレジットを購入して、オフセットします。

  • オフセット量の決定

【海外事例】豪州の排出削減基金(ERF)とACCU、その仕組みとは?

はじめに:政府が「買い手」となる、ユニークな市場

世界のカーボンクレジット市場は、企業や個人が、自主的に取引を行う「ボランタリー市場」だけでは、ありません。

国によっては、政府が、独自の制度を、設計・運営し、市場で、中心的な役割を、果たしているケースがあります。

その、最も、ユニークで、先進的な事例の一つが、オーストラリアの「排出削減基金(ERF – Emissions Reduction Fund)」です。

今回は、このERFと、そこで取引される、「ACCU(アキュ)」と呼ばれる、独自のカーボンクレジットの仕組みについて、解説します。

他の国の制度を、知ることは、日本の、未来の制度設計を、考える上でも、重要なヒントを、与えてくれます。

排出削減基金(ERF)とは?

ERFは、オーストラリア政府が、国内のCO2排出削減を、促進するために、2014年に、設立した、国家的なプログラムです。

その、最大の特徴は、政府自身が、カーボンクレジットの、主要な「買い手」となる、という点にあります。

ERFの、基本的な仕組み

  1. プロジェクトの登録:まず、国内の、企業や、土地所有者などが、CO2削減プロジェクト(植林、省エネ、廃棄物管理など)を、政府の「クリーンエネルギー規制当局」に、登録します。
  2. CO2削減量の算定と、クレジット発行:プロジェクトが、実際に、CO2を削減すると、その削減量に応じて、「ACCU(Australian Carbon Credit Unit)」という、オーストラリア独自の、カーボンクレジットが、発行されます。

    1 ACCUは、1トンのCO2削減量に、相当します。

  3. 政府による「リバース・オークション(逆オークション)」:ここが、最も、ユニークな部分です。

    政府は、定期的に、「リバース・オークション」を、開催します。

    これは、通常のオークションとは、逆に、プロジェクト実施者たちが、「自分たちのACCUを、1トンあたり、いくらの安値で、政府に売却できるか」を、入札するものです。

  4. 政府による、クレジットの買い取り:政府は、最も安い価格を、提示した事業者から、順番に、予算の範囲内で、ACCUを、買い取ります。

    そして、政府は、買い取ったACCUを、国の削減目標達成のために、無効化(リタイア)します。

ERFの、メリットと、近年の変化

メリット

【伝統の知恵】先住民族の「生態系知識」は、プロジェクトを、どう豊かにするか?

はじめに:科学の「横糸」と、伝統の「縦糸」を、織りなす

現代の、カーボンクレジットプロジェクトは、衛星データや、AI、高度な、科学的測定(MRV)といった、最先端の「科学技術」によって、その信頼性を、支えられています。

しかし、それと、同じくらい、あるいは、それ以上に、プロジェクトの、真の成功と、持続可能性にとって、重要な、もう一つの「知」の体系が、あります。

それが、プロジェクトが、行われる土地で、何世代にもわたって、受け継がれてきた、先住民族や、地域コミュニティが持つ、「伝統的生態系知識(TEK – Traditional Ecological Knowledge)」です。

今回は、この、科学とは、異なるアプローチを持つ、伝統の知恵が、いかにして、現代のプロジェクトを、豊かにし、その価値を、高めるのか、その、重要性について、探ります。

伝統的生態系知識(TEK)とは?

TEKは、特定の土地で、長い時間をかけて、自然と、密接に関わりながら、生きてきた人々が、観察と、経験の、積み重ねによって、体系化してきた、知識、実践、そして、世界観の、総体です。

それは、しばしば、口承や、儀式、物語といった形で、世代から、世代へと、受け継がれていきます。

  • 具体的な知識の例

    ・どの植物が、薬になり、どの植物が、食料になるか。

    ・どのタイミングで、種を蒔き、収穫すれば、天候の、微妙な変化に、対応できるか。

    ・森の、どのエリアが、神聖な場所であり、決して、足を踏み入れては、いけないか。

    ・動物たちの、行動パターンから、季節の移り変わりや、異常気象の、前兆を、どう、読み取るか。

TEKは、単なる「おばあちゃんの知恵袋」のような、断片的な知識では、ありません。

それは、人間と、自然を、分断せず、全てが、相互に、繋がっている、と捉える、ホリスティック(全体論的)な、世界観に、根差した、洗練された、知の体系なのです。

TEKが、プロジェクトに、もたらす価値

プロジェクト開発者が、このTEKに、敬意を払い、計画の段階から、先住民族の、知識保有者を「専門家」として、対等なパートナーとして、迎え入れた時、プロジェクトは、飛躍的に、豊かになります。

1. より、レジリエント(強靭)な、生態系再生

科学的な、アプローチだけでは、時に、その土地の、固有の、生態系の、複雑性を、見過ごしてしまうことがあります。

例えば、植林プロジェクトにおいて、単に、成長が早い、外来種を、植えるのではなく、TEKに基づき、その土地の、気候や、土壌に、本当に、適した、多様な「在来種」を、組み合わせて、植えること。

それは、病虫害や、干ばつに、強く、より、生物多様性が、豊かで、レジリエントな森を、再生させることに、繋がります。

2. より、効果的な、モニタリング

衛星データでは、捉えきれない、森の、微妙な変化。

例えば、特定の、指標となる、植物の、開花時期の、ズレや、渡り鳥の、飛来の、変化など。

地域コミュニティの、レンジャーたちが、TEKに基づいて、行う、日々の、きめ細やかな、地上での、モニタリングは、科学的な、リモートセンシングの、データを、補完し、プロジェクトの、異常を、早期に、発見するための、重要な「センサー」となります。

3. より、深い、社会的正当性

プロジェクトが、TEKを、尊重し、取り入れること。

それは、先住民族の、文化的な、アイデンティティと、尊厳を、守り、彼らが、自らの、知識に、誇りを、持つことに、繋がります。

これにより、コミュニティは、プロジェクトを、外部から、押し付けられたものではなく、「自分たちの、プロジェクト」として、捉え、より、主体的に、かつ、長期的に、関与してくれるようになります。

これこそが、プロジェクトの、真の「持続可能性」を、担保する、最も、確かな、土台です。…

よくある誤解を斬る!カーボンクレジットのウソ・ホント

はじめに:そのイメージ、本当に合っていますか?

カーボンクレジットへの関心が高まる一方で、その仕組みや価値について、誤った情報や、誤解に基づいたイメージが広まっていることも少なくありません。

「どうせ、お金持ちの道楽でしょ?

」「企業が免罪符として買っているだけでは?

」。

そんな、よくある誤解を一つ一つ取り上げ、そのウソとホントを、Q&A形式で分かりやすく解説していきます。

正しい知識が、あなたの迷いを確信に変えるはずです。

よくある誤解と、その真相

【誤解1】カーボンクレジットは、企業の「免罪符」に過ぎない。

A. 半分ホント、半分ウソ。

ウソの側面:確かに、企業が自社のCO2削減努力を怠り、安易にクレジット購入だけで「環境に配慮しているフリ(グリーンウォッシング)」をする、という批判は存在します。

そうした企業は、いずれ投資家や消費者から見抜かれ、信頼を失うでしょう。

ホントの側面:しかし、多くの真摯な企業にとって、クレジットは「免罪符」ではなく、「どうしても削減しきれない排出量」を埋め合わせるための、合理的で不可欠な手段です。

例えば、航空会社が飛行機のエンジンをすぐにゼロエミッション化するのは不可能です。

自社努力を最大限行った上で、残った排出量をクレジットでオフセットすることは、責任ある行動と言えます。

また、その購入資金が、途上国の新しいCO2削減技術を育てている、という事実も見逃せません。

【誤解2】どうせ、効果なんてないんでしょ?

A. ウソです。

信頼できる認証機関(Verra, Gold Standardなど)が認証したクレジットは、専門家による厳格な審査を経ており、そのCO2削減効果は科学的な根拠に基づいて測定・検証されています。

「追加性」(クレジットがなければ、その削減は行われなかったこと)の概念も、その効果を本物にするための重要な要素です。

効果のないプロジェクトのクレジットは、そもそも信頼できる市場では取引されません。

「どのクレジットを選ぶか」が重要なのであり、仕組み自体に効果がない、というのは誤りです。

【誤解3】個人が買っても、焼け石に水。意味がない。

A. ウソです。

確かに、個人の購入量は、企業に比べれば小さいかもしれません。

しかし、そこには二つの大きな意味があります。

  1. 市場へのシグナル:「個人も、環境価値を求めている」という明確な意思表示となり、より多くの企業やサービスが、個人向けのクレジット販売やオフセットの仕組みを導入するきっかけになります。
  2. 民主的な市場形成

J-Credit制度とは?日本のプロジェクトを個人で応援

はじめに:身近な日本の環境活動を支援しよう

「海外のプロジェクトもいいけど、まずは日本の環境貢献を応援したい」。

そう考える方にぜひ知ってほしいのが、日本政府が認証する「J-Credit制度」です。

この制度は、日本の企業や団体が行うCO2削減の取り組みを「クレジット」として価値化し、取引を可能にするものです。

この記事では、J-Creditの仕組みと、個人がどう関われるのかを解説します。

J-Credit制度の3つの特徴

  1. 政府による信頼性:経済産業省、環境省、農林水産省が共同で運営しており、プロジェクトの審査やCO2削減量の算定は国が定めた厳格なルールに基づいています。

    信頼性が非常に高いのが最大の特長です。

  2. 多様なプロジェクト:省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用といった工業的な取り組みから、森林管理、農業における土壌改善まで、日本の実情に合った多種多様なプロジェクトが対象となります。
  3. 地域活性化への貢献:クレジットの購入代金は、日本国内のプロジェクト実施者に支払われます。

    これにより、国内の環境技術の普及や、地方の雇用創出など、地域経済の活性化にも繋がります。

個人はJ-Creditをどうやって購入するの?

これまでJ-Creditは主に企業間で取引されてきましたが、近年、個人でも購入できる道が拓けてきました。

  • 仲介事業者やプラットフォームを利用:J-Creditを小口化して販売している事業者や、オンラインプラットフォームを通じて購入するのが一般的です。
  • 応援したいプロジェクトを選ぶ:事業者のサイトでは、どのようなプロジェクトから創出されたクレジットなのかが紹介されています。

    自分の故郷や関心のある分野のプロジェクトを選んで応援することができます。

まとめ:日本の未来に、直接投資する

J-Creditを購入することは、日本のCO2削減目標達成に貢献するだけでなく、国内の頑張っている企業や地域を直接応援することに繋がります。

まずはJ-Creditの公式サイトや、取り扱いのあるプラットフォームを訪れて、どのようなプロジェクトが日本中で動いているのかを覗いてみませんか?

日本の未来への、新しい投資の形がそこにあります。…

【炭素会計入門】企業のCO2排出量、Scope 1, 2, 3とは、何か?

はじめに:見えない「排出量」を、どう、測り、分類するか

企業が、気候変動対策の、第一歩として、取り組むべき、最も、基本的なこと。

それは、自社の事業活動が、どれだけの、温室効果ガス(GHG)を、排出しているのかを、正確に「知る」ことです。

この、排出量を、算定し、報告するための、世界的な「共通言語」となっているのが、「GHGプロトコル」という、国際基準です。

そして、このGHGプロトコルでは、企業の排出量を、その、発生源によって、「Scope(スコープ)1, 2, 3」という、3つのカテゴリーに、分類します。

今回は、この、企業の「炭素会計」の、基本中の基本である、Scope 1, 2, 3の、それぞれの意味と、その重要性について、分かりやすく、解説します。

3つのスコープ:排出源による、分類

Scope 1:自社による「直接排出」

これは、事業者自身が、所有・管理する、排出源から、直接、排出される、温室効果ガスのことです。

  • 具体例

    ・工場などの、ボイラーや、工業炉で、化石燃料(石油、ガスなど)を、燃焼させることによる排出。

    ・自社が、所有する、営業車や、トラック(社用車)が、ガソリンや、軽油を、燃焼させることによる排出。

    ・化学製品の、製造プロセスなど、特定の、工業プロセスから、直接、発生する排出。

Scope 1は、自社で、直接、コントロールできる、最も、分かりやすい排出源です。

Scope 2:エネルギーの、使用に伴う「間接排出」

これは、他社から、供給された、電気、熱、蒸気の使用に伴って、間接的に、排出される、温室効果ガスのことです。

  • 具体例

    ・オフィスや、工場で、購入した「電気」を使用すること。

    (その電気を、発電する、発電所で、CO2が、排出されています。

    ・他の施設から、供給される「熱」や「蒸気」を、使用すること。

Scope …