はじめに:ワインだけじゃない。クレジットにも「当たり年」は、ある
カーボンクレジットの、詳細な情報を見ていると、「ヴィンテージ(Vintage)」という、項目が、あることに、気づきます。
ワインの世界では、ブドウの「収穫年」を、意味する、この言葉。
カーボンクレジットの、世界では、一体、何を、意味するのでしょうか。
そして、なぜ、この「生まれ年」が、クレジットの、品質や、価格に、影響を、与える、重要な要素と、なるのでしょうか。
今回は、少し、専門的ですが、重要な、この「ヴィンテージ」の概念について、解説します。
ヴィンテージとは、何か?
カーボンクレジットにおける「ヴィンテージ」とは、そのクレジットの、元となった、「CO2の削減、または、除去が、実際に行われた年」を、指します。
例えば、「ヴィンテージ2023」の、クレジットは、2023年1月1日から、12月31日までの間に、そのプロジェクトが、実際に、CO2を、削減・除去した、という「成果」を、証明するものです。
これは、クレジットが「発行された年」とは、異なる場合が、あるので、注意が、必要です。
(2023年に行われた、削減量の、モニタリングと、検証を経て、クレジットが、実際に、発行されるのが、2024年になる、というケースは、よくあります。
)
なぜ、ヴィンテージは、重要なのか?
買い手(特に、企業)によっては、購入するクレジットの、ヴィンテージを、特定の範囲に、限定する、場合があります。
「ヴィンテージが、新しい(最近の)クレジットほど、価値が高い」と、見なされる、傾向があるのです。
その理由は、主に、二つあります。
理由1:方法論の「進化」と、品質への、信頼性
カーボンクレジットの、品質を、担保する「方法論(ルール)」は、常に、最新の、科学的知見や、市場からの、フィードバックを、受けて、改訂され、年々、より、厳格なものへと、進化しています。
つまり、より、新しいヴィンテージの、クレジットほど、より、洗練された、信頼性の高い、最新のルールに基づいて、CO2削減量が、計算されている、と、考えられるのです。
例えば、10年前に、主流だった、ベースラインの、設定方法が、今では、不適切と、見なされている、というケースも、あります。
そのため、企業は、グリーンウォッシュ批判を、避けるためにも、できるだけ、ヴィンテージの、新しい、クレジットを、好む傾向が、あります。
理由2:「現在の排出」との、時間的な、近接性
企業が、オフセットを行う、主な目的は、「今年、自社が、排出してしまったCO2」を、埋め合わせることです。
その際に、例えば、10年も前に、行われた、CO2削減(古いヴィンテージの、クレジット)で、埋め合わせることは、時間的な、整合性が、取れていない、と感じる、ステークホルダー(投資家や消費者)も、いるかもしれません。
「今年の排出は、今年の削減で、相殺するべきだ」という、考え方から、自社の、排出年と、時間的に、近い、新しいヴィンテージの、クレジットを、使う方が、より、説明責任を、果たしやすい、という、側面があります。
古いヴィンテージは、価値がないのか?
では、古いヴィンテージの、クレジットには、全く、価値が、ないのでしょうか。
そんなことは、ありません。
たとえ、10年前の、クレジットであっても、信頼できる認証機関が、当時の、最善のルールに基づいて、発行したものであれば、その「1トンのCO2削減」という、環境価値は、本物です。
しかし、市場での「需要」という観点からは、新しいヴィンテージのものが、より、好まれ、結果として、価格も、高くなる、という、傾向がある、ということを、理解しておくことが、重要です。
まとめ:クレジットの「鮮度」を、意識する
ヴィンテージという概念は、私たちに、カーボンクレジットの、品質を、評価するための、新しい「時間軸」の、視点を、与えてくれます。
単に、プロジェクトの、種類や、場所だけでなく、「その削減は、いつ、行われたものなのか?
」という、クレジットの「鮮度」を、意識すること。
特に、投資として、クレジットの、将来的な、価格上昇を、期待するのであれば、市場が、どのようなヴィンテージの、クレジットを、求めているのか、その、需要の動向を、見極めることが、重要な、判断材料の、一つと、なるでしょう。