【2025年市場レビュー】今年のカーボンクレジット市場、3つの重要トレンドを振り返る

はじめに:変化の激流の中で、私たちは、どこにいるのか

2025年も、残すところ、あとわずかとなりました。

今年の、ボランタリー・カーボンクレジット市場もまた、まさに「激動」の一年でした。

新しい技術の台頭、国際的なルールの進展、そして、市場の「質」を問う、厳しい視線。

今回は、2025年の市場を、動かした、最も重要な「3つのトレンド」を、振り返り、私たちが、今、どこに立っているのか、その現在地を、確認してみたいと思います。

トレンド1:「質の追求」の、本格化 – “Flight to Quality”

今年、最も、明確になったトレンドは、市場参加者の、「質の高い」クレジットへの、強い希求、いわゆる “Flight to Quality(質への逃避)” でした。

  • 背景:昨年から、相次いで報じられた、一部のREDD+プロジェクトなどに対する、グリーンウォッシュ批判や、効果への疑問。これらを受けて、企業は、自社のオフセットが、レピュテーションリスク(評判の毀損リスク)に、なることを、極度に、恐れるようになりました。
  • 起きたこと

    価格の二極化:信頼性の高い認証(Gold Standard, Verra+CCBなど)を受け、コベネフィットが明確で、MRV(測定・報告・検証)が、堅牢なプロジェクトのクレジット価格が、高止まりする一方で、品質に、少しでも疑問符の付く、クレジットの価格は、大きく下落し、買い手がつかない、という、価格の「二極化」が、鮮明になりました。

    格付け機関の台頭:Sylveraや、BeZero Carbonといった、独立系の格付け機関の評価が、企業のクレジット選定において、重要な判断基準として、広く、参照されるようになりました。

  • 意味すること:もはや、「安ければ良い」という時代は、完全に、終わりました。

    これからは、プロジェクトの「品質」と「透明性」こそが、その価値を、決定づける、唯一の、絶対的な基準となります。

トレンド2:「除去(リムーバル)」クレジットの、離陸

SBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)などが、「排出削減(リダクション)」と、「炭素除去(リムーバル)」の、役割の違いを、明確にしたことを、背景に、今年は、「除去」クレジット市場が、本格的に「離陸」した元年、と言えるでしょう。

  • 背景:企業のネットゼロ目標達成のためには、削減努力の補完として、「除去」クレジットの活用が、不可欠である、という認識が、グローバル企業の間で、急速に、広がりました。
  • 起きたこと

    DAC・バイオ炭への、資金流入:マイクロソフトや、JPモルガンなどが主導する、購入者連合「Frontier」などを通じて、DACや、バイオ炭といった、永続性の高い、技術ベースの除去プロジェクトに対して、巨額の「先行購入契約」が、相次いで、発表されました。

    新しい方法論の開発:Puro.earthなどの、除去専門レジストリだけでなく、Verraなども、新しい除去技術に関する、方法論の開発を、加速させています。

  • 意味すること:「削減」と「除去」は、それぞれ、異なる価値を持つ、別の資産クラスである、という認識が、定着しました。

    特に、永続性の高い、高品質な「除去」クレジットは、今後、プレミアム価格で、取引される、新しい市場を、形成していくでしょう。

トレンド3:パリ協定第6条の「始動」と、国際ルールの整備

長年、交渉が続けられてきた、パリ協定第6条に基づく、国境を越えたクレジット取引の、具体的なルール作りが、大きく前進し、市場の、将来の姿が、見え始めた一年でした。

  • 背景:昨年末のCOPでの合意を受け、各国の政府が、第6条のルールを、国内法に、どう取り込むか、その具体的な制度設計を、加速させました。
  • 起きたこと

    「対応調整」済みクレジットへの、期待:国としての、二重計上を、防ぐための「対応調整(Corresponding Adjustment)」が、適用された、高品質なクレジットが、今後、市場に登場することへの、期待が高まりました。

    シンガポールと、ガーナの間で、世界で初めて、この対応調整を伴う、クレジット取引が、合意されるなど、具体的な動きも、始まりました。

    ボランタリー市場との、連携:各国の排出量取引制度(コンプライアンス市場)において、質の高い、ボランタリークレジットの利用を、どの範囲まで、認めるか、といった、両市場の連携に関する、具体的な議論が、進展しました。

  • 意味すること:これまで、混沌としていた、ボランタリー市場が、パリ協定という、国際的な、公的ルールと、徐々に、連携・統合されていく、大きな方向性が、示されました。

    これにより、市場の信頼性が、向上し、より、多くの、機関投資家を、呼び込む、きっかけとなるでしょう。

まとめ:嵐の後の、新しい夜明け

2025年は、市場が、その「生みの苦しみ」を、経験した一年だった、と言えるかもしれません。

グリーンウォッシュ批判という、厳しい「嵐」の中で、市場は、その、未熟で、脆弱な部分を、洗い流し、より、強く、より、信頼される市場へと、生まれ変わるための、重要な「脱皮」の過程に、あります。

「品質」と「除去」、そして「国際ルールとの整合性」。

この3つのキーワードを、羅針盤として、来年以降の、新しい市場の「夜明け」に、備えること。

それが、私たち、個人投資家に、求められる、賢明な姿勢と言えるでしょう。

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