はじめに:同じじゃない!クレジットの「中身」を知ろう
カーボンクレジットと一括りに言っても、その「中身」、つまりCO2に対してどうアプローチしたかによって、大きく二つの種類に分けられます。
それが「炭素除去(リムーバル)」と「排出削減(リダクション/アボイダンス)」です。
この違いを理解することは、より本質的な気候変動対策に貢献し、将来の価値を見極める上で非常に重要です。
今回は、この二つの違いを分かりやすく解説します。
排出削減(リダクション/アボイダンス)クレジットとは?
こちらは、「本来であれば排出されるはずだったCO2を、未然に防いだ」ことに対するクレジットです。
「回避(Avoidance)」とも呼ばれます。
- 具体例:
・再生可能エネルギープロジェクト:もしこの太陽光発電所がなければ、化石燃料で発電していたはず。
その「防げた」排出量をクレジット化します。
・森林保護プロジェクト:もしこのプロジェクトがなければ、この森林は伐採されていたはず。
その「守った」炭素量をクレジット化します。
・高効率コンロの普及:もしこのプロジェクトがなければ、人々は薪を燃やし続けていたはず。
その「節約できた」排出量をクレジット化します。
- 特徴:現在のカーボンクレジット市場の大部分を占めており、比較的安価なものが多いです。
炭素除去(リムーバル)クレジットとは?
こちらは、「すでに大気中に存在しているCO2を、積極的に吸収・除去した」ことに対するクレジットです。
- 具体例:
・植林・再植林プロジェクト:木を植え、成長させることで、大気中のCO2を吸収させます。
・ブルーカーボン:マングローブ林の再生など、海洋生態系の力でCO2を吸収・固定します。
・DAC(直接空気回収):化学的な技術を使って、大気中のCO2を直接回収し、地中などに貯留します。
- 特徴:排出を防ぐだけでなく、過去に排出されたCO2を減らす「マイナス」の効果があるため、より本質的な解決策として近年非常に注目されています。
特に技術ベースの除去はコストが高く、クレジットの価格も高価になる傾向があります。
どちらが重要?個人投資家はどう見るべきか
気候変動を食い止めるためには、排出を「減らす」努力と、すでに増えすぎたCO2を「取り除く」努力、その両方が不可欠です。
したがって、どちらのクレジットが優れているというわけではありません。
ただし、投資の観点からは、以下のような視点も持てます。
- 将来性:多くの科学者や企業が、将来的に「除去(リムーバル)」の重要性が増すと指摘しています。
Microsoft社のように、購入するクレジットを100%除去型に移行すると宣言する企業も出てきており、将来的な需要の伸びは除去型の方が大きい可能性があります。
- 価格:現在は排出削減型の方が安価ですが、将来的に除去型の価値が高まると考えるなら、今のうちに投資しておく、という戦略も考えられます。
まとめ:クレジットの「質」を見極める新しい視点
あなたが購入しようとしているクレジットは、CO2の排出を「防いだ」ものですか?
それとも、大気中から「取り除いた」ものですか?
この違いを理解し、意識的に選ぶこと。
それが、あなたの貢献と投資を、より戦略的で意義深いものにしてくれるはずです。